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更新日:2015年12月10日

ふくまる教志塾第6回セミナー

「安全教育について~安全・安心な学校づくり~」

 日時 8月24日(金曜日)18時から20時
 場所 池田市教育センター(情報研修室)
 内容 講話「安全教育について ~安全・安心な学校づくり~ 」
    講師:矢野克己校長先生(池田市立緑丘小学校)

 

 今回のセミナーは、池田市立池田教育センターで開催しました。城山町の高台にある教育センターは池田城跡公園のすぐ隣にあります。残暑厳しい夕刻、塾生のみなさんは汗だくになってセミナーに参加してくれました。
 塾生のみなさんにとっては、夏休み中でもありますのでどれぐらいの参加があるのか心配をしたのですが、24名の塾生が意欲的に受講してくれました。

 今回は、矢野克己校長先生(緑丘小学校)の安全教育についてのお話でした。
矢野先生は、14年前、大阪教育大学附属池田小学校で起こったあの忌まわしい事件に副校長として遭遇されました。まさにその時の当事者であります。 

 先生は、2度とこのような理不尽な事件を学校内で起こしてはならない、体験した者の責任として、これから教師をめざす若者に伝えなければならないという思いから、「学校の安全教育」についてお話していただいています。
 今年も、亡くなった子どもたちやそのご遺族、今なお後遺症に苦しむ被害者やそのご家族のことを念頭におきながら、講話をしていただきました。塾生だけでなく、多くの先生方にも聞いてほしい内容でした。
 

 以下、矢野先生の講話の一部を使用されたレジュメから要約したものを掲載いたします。


 

講師の矢野校長

附属池田小事件を教訓として
後世に伝えていかなければならないこと

 事件当時の教職員は、目の前に起こっていることに、その場の判断でそれぞれが必死に対応し、子どもたちの命を救おうと懸命に救命活動を行ったが・・・。混乱の中で学校全体としての状況把握ができず、組織だった救命活動を行うことができなかった。

<安全管理に万全はない>
1. 重大な事件、事故がおきれば「学校危機」
普段からの安全管理が大切(「まさか」からの脱却)
  ■まさか侵入者はいないだろう。■まさかプール事故は起きないだろう。
  ■まさか遊具は壊れないだろう。■まさか・・・・・
2.「学校は安全な場所である」という過信から、危機意識をもてなかった。
・「開かれた学校」とは「多くの人が集う学校」と考え、その中に犯罪者がいることは想定ができなかった。
2. 京都日野小事件(運動場での児童殺傷事件)があったにもかかわらず、安全管理に生かせなかった。
3. 管理職に危機管理意識が不足し(ケガ防止対応に関心を向けていた)、教職員にもいざという時の心の準備が備わっていなかった。
4. 児童通用門、正門小扉、自動車通用門が常時開放されたままになっていた。
・安全よりも利便性を大切にしていた。
5. 校舎前の樹木が、来校者を見えにくくしていた。(安全設備・環境への意識が低かった)
・来校者を職員室等から見渡せる工夫を設備点検でも入れる必要がある。
6. 来校者確認は、事務所前で行っていたが、悪意を持つ侵入者に対しては無防備であった。
7. 教職員の来校者に対する安全管理意識が低かった。
・来校者への「声かけ」の大切さを意識していない教職員がいた。
・「声かけ」の大切さを、教職員同士に共通確認できていなかった。
8. 事件後、学校電話(3台)がパンク状態。児童緊急連絡網(家庭電話)が機能せず。
・非常時の連絡体制が未整備であった。 
9. 緊急時の児童の帰宅方法を検討していなかった。
   
<危機対応能力が不十分であった・不審者対応緊急マニュアルがなかった。>
1. 不審者対応や多数の負傷者を想定した緊急マニュアルがなかった。→訓練もせず。
2. 目の前の対応に必死で、組織だった救命等を行うことができなかった。
・負傷児童の氏名、場所、人数、負傷の程度等の確認ができず、混乱の中で各教員まかせの救命活動になってしまった。【管理職のリーダーシップが発揮できなかった】
3. 火災報知機を火事以外で使用するという意識がなかった。
・火災報知機は全校に学校危機を知らせる有効な方法であることに後で気づいた。
4. 救急搬送に教職員が同乗することができず、どこの病院に搬送されたのか掌握できなかった。 → 傷ついた児童に保護者が早期の面会ができなかった。
  ・救急搬送担当者(複数)を決めておくことが必要
5. 情報交換が十分でなかったため、全体的組織的な救急活動ができなかった。
・指令本部が必要。私自身が大学への連絡、保護者対応、警察対応、マスコミ対応等で
動き回っていた。また、事件後、直ぐに事情聴取のため警察に連れて行かれてしまい、事件後の緊急対応を行うことができなかった。事情聴取は後日にしていただくようにお願いをすればよかった。 (警察に反論する余裕すらなかった。)
6. 事件後、即座に「緊急対策室」を立ち上げ、1.)記録担当2.)マスコミ担当3.)遺族対応4.)負傷者対応5.)保護者対応6.)児童対応等の担当を決め、組織だった対応を行うべきであった。特に、記録担当は事件後の検証を行う上で、たいへん重要である。
7. 結果として、「110」より、人命救助の「119」
・犯罪が起こってけが人等がでたとき、「110」は事情を聞かれるので時間がかかる。
・消防は、生命がかかっているためできるだけ早く駆けつけてくれる。

 注 あらゆる手段をつかって複数の通報(警察・消防)を行うことが大切である。
 
 今こそ、こんなときだからこそ、学校安全について みんなで考えよう
<教職員は、子ども一人ひとりの大切な「いのち」を守る仲間>

  最後に、事件後14年が経過し、本事件はだんだんと風化してきている。保護者や地域の皆さん教職員の危機意識はしだいに薄れ、「いじめ」「不登校」「自殺」「ハラスメント」「虐待」等の問題にその関心は移ってきている。当然、これらの問題は学校危機管理の上からも非常に重要な問題であるが、「子どもが安心して学ぶ学校」を創っていく上で、本事件の教訓も決して忘れてはならない。日本社会が疲弊し、人と人との関係性が希薄になる中で、第二の「宅間」が生まれないとも限らない。

・危機管理意識の低い学校の象徴
◆上靴にサンダルが多い。(いざという時に走れない)◆名札を着けていない教職員が多い。
◆毎年、侵入者対応プログラムにもとづいて、訓練や確認を行っていない学校
◆附属池田小事件を他人事だと思っている教職員が多い学校
◆保護者や地域の皆さんから危機意識が弱まってきている学校  
◆学校事故やプール事故を想定し、マニュアル化や訓練を行っていない学校    
◆学校事故の未然対策を怠っている学校       等々

グループワークをする塾生

 塾生一同、当時被害にあった子どもたちと同世代ということもあり、切実感を持って聞き入っていました。
 その後、矢野先生のお話を受け、「学校の安全」についてグループワークを行いました。

<塾生の感想から>
・ 矢野克己先生のお話を聞き、当時の附属小学校のことを改めて深く考えさせられました。私は当時、隣の小学校で、パトカーやヘリコプターの音が今までにないくらい身近に聞こえてきていたことを覚えています。後になって、幼稚園の同級生が被害にあったことを聞き、自分のことのように恐怖や加害者への怒りを覚えました。
 今では、池田市でも安全面に関しては徹底されるようになっており、 私自身も、まさかの時を想定する心構えを持ち続けることが大切だと思いました。
・ 今日の矢野先生の「安全教育」についてのお話を聞いて、教師自身が来校された保護者などに対しても「どうかされましたか?」と一言声をかけることが子どもの身を守るという観点からも、学校全体の「安全確保」という観点からも大切であることを学ばせていただきました。
・ この事件を、決して他人事として風化させてはいけないと強く思いました。つらく、悲しい事件ですが、これからもこのことは伝えていくべきだと思いました。
・ “本気で、教師になる!!”という強い思いを持って教師になることの大切さを身にしみて感じました。教師は子どもの命を守るという大切な使命があります。実際に、たいへんな状況になった時に慌てずに対応できるかどうかは普段からの訓練があってこそだと思いました。心構えだけでも全ての先生方が持っていたら学校は組織で対応することが大切なので、子どもの命を少しでも守れるのではないかと考えます。
・ 私は、付属小の事件があった当時、小学校2年生で、ちょうど町探検に出かけており、教室に戻ると、担任の先生が「みんな無事で本当に良かった。」と号泣していたのを覚えています。
こうして講義を聴いて感じたことは、何事に対しても日ごろからの「準備」が大切だということです。日ごろからの声かけや情報共有、連携であったり、マニュアル作成や訓練であったり、できることをやっておくことの大切さを、改めて知ることができました。

 

グループワークをする塾生

グループワークで話し合ったことを報告する塾生
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