下水道管の点検・調査について
池田市では約70年前から公共下水道事業を始めているため、下水道管路施設が古くなっており、老朽化対策が課題となっています。施設を計画的に維持管理するために、『池田市公共下水道事業ストックマネジメント計画』を策定しました。
『池田市公共下水道事業ストックマネジメント計画』とは、長期的な視点で下水道施設が全体的に老朽化が進むことを考慮し、優先順位を付けたうえで、施設の点検・調査、修繕・改築を実施し、施設全体の維持管理を最適化していくことを目的としています。そのためには、施設の重要度で分類をして、効率的かつ合理的な点検・調査の計画を策定し、実施していきます。
施設の重要度って何だろう?
下水道法施行規則から、腐食環境下の最重要施設と一般環境下の重要施設、そして一般施設に分けて施設の重要度が定められています。
腐食環境下とは何だろう?
下水道の管路は、緩やかな勾配をつけることで下水を自然流下で下水処理場へ向けて流しています。しかし、自然流下で下水を流すのが困難な場合はマンホールポンプを設置したり、河川などを横断する場合は伏越し構造にしています。そのような施設では下水の流れが乱れやすく、下水に含まれる硫化水素ガスが放散されやすくなります。この硫化水素ガスが管きょの腐食の原因となります。そのため、このような箇所では5年に1回以上の頻度で点検することが下水道法で義務付けられております。
腐食のおそれが大きい箇所
1) 圧送管吐出し先 ・・・マンホールポンプから吐出し先の箇所
2) 落差・段差の大きい箇所 ・・・管の落差がある箇所
3) 伏越し下流部 ・・・複雑な管路により流れが乱される箇
4) その他腐食するおそれの大きい箇所 ・・・ビルや集合住宅のピット排水など
なぜ腐食した老朽管が崩れてしまうのだろう?
下水道で広く使用されているヒューム管(コンクリート管)は、硫化水素ガスにより腐食が発生します。これらの腐食が長い年月をかけて更に進行するとコンクリート内部や鉄筋が腐食してしまいヒューム管の耐荷能力が著しく強度が低下してしまいます。それにより管の上部に穴が開き、周辺の土砂が少しずつ流れ落ちてしまうことで空洞化が進み、舗装の強度が著しく低下して道路陥没が起きてしまいます。
腐食環境下の腐食のメカニズムについて
1.硫化水素の発生
下水の有機物を大量に含む排水は流れている間にバクテリア(硫酸塩還元菌)が働き、下水の流れの乱れにより硫化水素ガスが放散されます。
2.空気中で硫酸の発生
硫化水素ガスは、管内上部の空気と反応して硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌などのバクテリア活動により硫酸へ変化します。
3.コンクリートや鉄筋の腐食
強酸性の硫酸が付着すると硫酸の腐食作用でコンクリートや鉄筋が腐食します。
重要施設と一般施設
大規模災害が発生した時に速やかな復旧をめざすため、都市機能上で重要な施設や緊急輸送路、河川・軌道横断および避難所からの排水を受ける管きょといった被害影響の大きい施設を重要施設とし、一般施設は重要施設以外の管きょとしています。
点検・調査の頻度はどうやって決めたの?
腐食環境下では
下水道法施行令第五条の十二で定められており5年に1回点検が必要とされています。
点検頻度の設定(腐食環境下)
一般環境下では
一般環境下の一般施設については、重要施設と比べ、事故時のリスクは相対的に低いが、ブロックごとに分けて点検管理し易くするために、頻度を10年に1回と設定しています。
点検頻度の設定(一般環境下)
点検・調査ブロックはどうやって設定しているの?
池田市内の下水道管きょを全て10年に1回ずつ点検を実施するために、幹線と幹線に接続する枝線ごとにブロック分けをしています。
点検・調査とは…
点検は、施設・設備の状態を把握し、異状の有無を確認することで、調査は施設・設備の健全度評価や予測のため、劣化状況を定量的に確認することです。
管口カメラ点検
管口テレビカメラは写真のように、伸縮可能な操作棒の先にカメラとライトを取り付けたものを地上からマンホールに挿入して調査員が手元のモニターを見ながら前後の管内を点検します。
テレビカメラ調査
テレビカメラ調査は、カメラ付きの台車を走らせてマンホール間を移動させながら、直視または側視の映像を地上に設置したモニターテレビに映し出し、管内の異常(劣化度・流下能力・浸入水など)の状況を確認する調査方法です。
潜行目視調査
潜行目視調査は、歩行可能な管径800mm以上の管きょについて調査員が管内に潜行し、目視によりその性状を把握する調査です。安全に留意し、十分な空気を送って換気しながら作業を行います。
このような計画と方針をもとに市内の下水道管きょ施設の点検・調査を行っています。
皆さまのご自宅の近くで昼夜問わず作業をすることもありますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
更新日:2025年10月24日