第4回ふくまる夢たまごセミナー

更新日:2021年02月01日

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「池田の歴史」から「歴史とは何か」を学ぶ

  第4回ふくまる夢たまごセミナーは、8月24日(金曜日)午後6時より、池田市教育センターの研修室で行いました。今回から、新たに聴講生2名が加わり、教志塾の参加者は総勢42名になりました。今回は、山口大学人文学部教授(前・池田市立歴史民俗資料館館長)の田中晋作先生をお招きして、池田の教員をめざす塾生・聴講生に「池田市探訪」というテーマで講演していただきました。田中先生は、「池田の歴史」を窓口にして「歴史とは何か」という課題を学生に問いかけられました。参加者は、田中先生の哲学的な話、具体の池田の歴史の特色の話に熱心に耳を傾けました。

講義の様子
講義の様子2

【田中晋作先生の講演「池田の歴史」】


 田中先生は、「池田の歴史」という講演テーマにサブタイトルとして「豊かで良質な知識の獲得」を加えられました。そこには、学生のみなさんに本と出会い、体系的・普遍的な時代を超えて生き続けているものに出会ってほしいという願いが込められています。
はじめに、人間は環境が造るものであり、歴史・文化がもつふたつの顔として、潜在的な意識の中で継承されているものと歴史上目に見える形と見えない意味についての話がありました。たとえば「祭り」は、地域アイデンティティーの形成と価値観の共有(地域力と住民力)に大きな役割を果たしますが、同時に排他的な意識が生まれないように注意する必要があります。
目に見えない歴史と文化は、お金であがなうことができない財産です。市民アンケートによると、池田の町は「緑あふれ、歴史・文化が輝く、世界に誇れるひと・こころ交流都市」ということでした。縦横3キロメートル、7キロメートルの中に歴史が詰まっています。その池田の歴史的特色は4つあります。
古代おいては、渡来系の氏族「秦氏」の猪名川流域の開発があります。秦氏はエンジニア集団で、鉢塚古墳はその秦氏一族のリーダーの墓だと考えられます。
中世においては、摂津の国人「池田氏」の盛衰が特色です。大阪府内には400箇所に城がありましたが、その95%は中世に造られた城で、池田城はその10指にはいるものです。天下統一をめざした織田信長が直接足を運んだ西の境界は猪名川を中心とした多田~池田~尼崎のラインです。ここは、西からの京都の防衛ラインであり、大山崎まで攻め込まれると京都は防衛できません。池田は、「東西の十字路」と云える交通の要衝であり、軍事上の要衝でした。だからこそ、信長が直接出陣したのです。
近世の池田は、経済的繁栄を誇った在郷町に特色があります。当時の一般の村は人口300人程度でしたが、池田村は5,000人の規模でした。物資の集散地として、猪名川の奥地で生産された木炭を「池田炭」として出荷していました。それは、茶の湯に使う高級な炭として重宝されました。38軒の造り酒屋が軒を連ねていた酒造業は、池田の大きな収入源で、ほとんどは江戸へ送られました。この池田の経済力が、有名な文人を寄せ集めました。四条派の画家・呉春はその一人です。
近代の池田は、小林一三に代表される周到にして大胆な町づくりが特色です。「公共交通システムと郊外型住宅」の開発は、「ことはじめの町・池田」といわれる由縁の一つです。その背景には、産業革命による都市の公害問題の発生がありました。一三は、ロンドンやニューヨークの郊外型住宅を手本に室町住宅を開発しました(明治43年)。八丁鉦の音に由来する今日の「がんがら火祭り」は、1644年に始まりました。
最後に、田中先生は、改めて「豊かで良質な知識の獲得」について触れられました。「知らないこと、分からないこと、できないこと」を早く知ることの大切さを強調され、「知識は力なり」という言葉を引用して締めくくられました。
田中先生には、この日の直前まで韓国に滞在されて専門の考古学の研究の仕事に携わっておられました。忙しい中、「ふくまる教志塾」に時間を割いて、貴重な講演をしていただきました。この場を借りて、お礼申し上げます。
 その後、塾生・聴講生は4人班で協議し、田中先生の講演の感想を交流しました。各班の感想は以下の通りです。

 

講義の様子3
講義の様子4
講義の様子5


1.小学校で、地域と結び付けて授業するのが不安。先生の「無知の知」という言葉を聞き、配属校の歴史を学んで生きたい。
2.池田は経済発展があって古い町。池田に住んでいても知らないことがたくさんあった。
3.地域アイデンティティーと排他的意識という話があったが、子どもたちには、地域に誇りがもてるようにしたい。話を聞いて、池田のイメージがアップした。
4.池田のイメージとこれから教師として生かせることについて話し合った。信長が池田を大事な都市として見ていたことが印象的。
5.授業で習わない歴史を学ぶことができた。歴史を教える時に、潜在的に持っている歴史観を見直すようにしたい。
6.歴史という言葉が、これまでとは違っていた。今回は、地に足が着いていた感じ。学校でも取り入りられたらいいのではないか。

 


 

 センターからの帰り道、塾生・聴講生や私たちスタッフも、「がんがら火祭り」の雰囲気を楽しみながら、帰路に着きました。


 次回、第5回の「ふくまる夢たまごセミナー」は、9月21日(金曜日)午後6時より、市庁舎7階大会議室で開催します。テーマは、「子ども理解(生徒理解・特別支援教育)」で、講師として、市内の小・中学校の先生方をお招きしています。
教志塾では、引き続き聴講生を受け付けています。希望者は、名前、大学名、
連絡先等、事前に教育政策課まで、お知らせください。また、現場の先生の参加も歓迎します。
 

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