1月24日 第9回ふくまる夢たまごセミナー

更新日:2021年02月01日

ページID : 2671

パネルディスカッション「授業づくり」

 1月24日(金曜日)午後6時より、市庁舎7階大会議室で第9回ふくまる夢たまごセミナーを開催しました。今回のテーマは「授業づくり」です。このテーマを扱うのは2回目ですが、今回は、受講生にとって身近な本塾を卒業した3人の現場の先生を招いて、パネルディスカッション形式で「授業づくり」について深めようと考えました。
 パネラーは、ふくまる教志塾1期生の石橋小学校阪上先生、ふくまる教志塾2期生の渋谷中学校河村先生と石橋中学校福島先生、そして山田信湖セミナーアドバイザーの4人です。コーディネーターは、丹松セミナーアドバイザーが務めました。最初に3人の現場の先生方から、「授業づくりの工夫」について報告を受け、それに山田アドバイザーがコメントしました。後半は、「授業づくりの悩み」について報告を受け、受講者からの質問を受けました。

(画像)セミナー1
(画像)セミナー2
(画像)セミナー3
(画像)セミナー4

3人の先生方の報告レジメは、以下の通りです。

阪上先生

(画像)阪上先生1
(画像)阪上先生2
(画像)阪上先生3
(画像)阪上先生4

(阪上先生は、教職2年目ですが、石橋小学校の公開研究会では、国語の提案授業を担当されました。)

河村先生

私の授業づくり
               渋谷中学校 教諭  河村 美香

1.授業づくりの工夫 

 私が授業づくりにおいて工夫をしているのは、「導入をまず面白く」ということです。身近なものや子供たちに人気の有名人やキャラクター、そして他教科を含め、先生方に許可をとり、授業の導入で写真などを使用しています。「英語」というだけで授業を聞くことがいやになっている生徒でも、写真などを使うことで興味を持って導入に耳を傾けることができると考え、そのように行っています。
 渋谷での英語は1年生でTTを行っているため、教師が1つの授業に2人ずついることになります。そのため、写真などを使いながら、かつ「会話」での導入も行うようにしています。その方が自然なシチュエーションになるためです。
 また、文法の説明においては黒板にチョークの字を変えて提示するだけではなく、単語カードなどを用意し、より大切なところが目立つよう工夫しています。さらに説明時にくどい説明にならないよう、できるだけ簡潔な説明を行うようにしています。
 子供たちの言葉の拾い方にも気を付けています。学力の低い生徒たちの中には「わからない」と言える生徒と言えない生徒がいます。その「わからない」の声を拾って全体で説明することで、救われる生徒がいます。また、英語に向かっていけない生徒の言葉を拾って英語にしたり、その生徒のことを英語にすることで「お?」と思ってもらえたらな、と思います。そこをきっかけに少しでも英語に興味を持ってもらえたら、と思います。
 英語は反復が大切なので、repeatを多くいれるようにしています。全体でrepeatをし、個人で順番に当て、できるだけ多く英語を発話させるようにしています。英語の構造を理解するまで到達していない生徒も、リズムをつかむことで「少しわかった」と思い、次も頑張ろう、という気持ちになると考えています。

2.授業づくりの苦労

 授業づくりにおいての苦労は、現在TTと分割授業で授業を行い、4人の教員で学年8クラスを持っているため、打ち合わせに時間がかかる、もしくは時間が持てないということです。早めに授業の準備を行い、相談を行うようにしていますが、授業の準備に時間がかかるため、なかなか厳しいものがあります。パワーポイントを用意するのに一つ一つ非常に時間がかかります。また、確認をしていてもパソコンで授業をしているため、不調などでうまく動かないこともあり、トラブルが起こった時に戸惑ってしまうことが何度かありました。
 また、こちらが時間をかけて用意し、喜ぶと思って用意したものにあまり食いつかなかったり、逆だったりするので予想した反応と違い、戸惑うことがあります。
 4クラス授業に行っていますが、クラスによって全く反応が違い、雰囲気も違うのでそれぞれのクラスに合わせて授業の組み立てを変えたり、声かけを変えなければならないので、最初はとても戸惑いました。さらに先で述べたように予想した反応と違うものが出る、クラスによって導入や説明に対して質問や食い付きが違います。
 さらに、授業を進めるごとに学力の低い生徒たちがどんどん授業についていけなくなっているので、どうやったら子供たちの学力を支えて上げられるのか、しかしその生徒に進度を合わせていては学力の高い生徒たちが飽きてしまうので、進度に気をつかって授業を行っています。また、放課後に補充を行っていますが、クラブなどとのバランスが難しく、そしてモチベーションも高いとは言えないのでどうやって底上げを図ればいいのか、日々模索しています。

福島先生

私の授業づくり
               石橋中学校 教諭  福島 量平

1.授業づくりの工夫

  • 授業の最初に今日の授業での目標を明確にする。(生徒の思考の中に筋道を)
  • 導入部分の復習やクイズなどでは時間をかけすぎないようにする。
  • 机間指導時に数学的に面白い意見があったりしたときに「その意見おもしろいね」とこえかけをしたりする。
  • なかなか手が挙げにくそうな時には目があう生徒にあてている。
  • 声の強弱をつける
    1学期に西山先生にご指導いただいたこと。(自分の声は大きいが1本調子で生徒が飽きてしまう)→声の強弱をつけることで、どこが大事なポイントかはっきりするようになった。
  • 演習もだらだらしないように、タイマーを使って、時間内に解いてもらうように意識している。
  • 他教科の授業も空き時間に見に行くようにして、自分の教科との関係性がないか考えたりする。
    特に理科とは関係性があるので、そこで導入時の話に理科の授業のことを関係づけて話をする。
  • 考える問題では 個人→ペア→グループもしくは全体というように、必ず個人で考える時間を確保するようにしている。
  • 手作り教具の活用
    画用紙や割り箸をつかってどらえもんが動く様子を黒板で再現したりした。
    僕の絵が非常に下手なため、逆に生徒は興味を持って授業時に見ながら問題について考えてくれた。

2.授業づくりの苦労

  • 生徒の理解度の差をふまえた授業展開
    持て余す生徒もいれば、演習時間内に全部解ききれない生徒もいる。
    演習時間内は、立ち歩かないようにして困っている生徒に教えることはOKにしている。
  • 授業時の指示を丁寧に行うこと。
    顔を見て話を聞いているようでも、話をした20秒後に、先ほど言ったことを質問してくることもある。→指示をする際には作業の手を止めて、聞かせるように意識している。
  • 黒板に図を書く際に教科書の絵を忠実に再現すること。
    図形をきれいに描くことができなかったり、数直線の間隔がばらばらになっていると、黒板の絵をみて生徒が混乱してしまう。
  • 学力が非常に低い生徒のフォロー
    定期テストで10点以下の生徒もいる。50分の授業で椅子にじっと座っていて、どの教科も先生が何を言っているか分からなく、辛い。そのような生徒に対してすこしでも「わかった!」という瞬間であったり、数学が楽しい、と思えるためにどうすればいいか、日々悩んでいます。

 

 パネルディスカッションを受けて、恒例の班別協議を行いました。受講生の感想を紹介します。

  • 新任であったら難しいと思う授業の環境づくりを工夫して、その困難を乗り越えてこられているところに感心した。3人の先生方全員が教材研究をしっかりと行い、自信を持って授業に臨んでいらっしゃるからこそ、生徒からの予想外なことや、授業に入りにくい生徒への対応ができるのだと感じた。自分の授業のスタイルを作って、どんどん先輩の先生方の良いところを盗んでいきたいと思う。
  • 学級経営や授業などで、実際になってみないとわからないことを、今日、先輩の先生方に聞くことができて、すごく学ぶものが多かったです。授業では,学力の差をどう考えたらいいかなど、現場の先生方も悩んでいるとお聞きして、教師になってからも常に学び続けないといけないと思いました。難しい問題がある中でも、楽しく授業を続けていくことができているのは、それだけの魅力のある職業だからと思いました。
  • 本日3人の先輩の先生方からお話を伺う中で、新たな発見、気付き、ボランティア先で実際に子どもたちと接する中で起こった疑問などへの共感、解決への道すじが多く見つかりました。様々なお話をしていただきましたが、どの先生にも共通して感じられたことは、自分の児童、生徒を一番に思う心でした。今までの失敗、工夫、体験談を語る先生方は、私たちに現場の素晴らしさを伝えてくださいました。授業に関しては、大学生のうちは実習のみとなりますが、ボランティアや現場を見る機会の一つひとつを大切にしていきたいと思います。
  • 貴重なお話ありがとうございました。1・2年目とは思えないくらい落ち着いていらっしゃって、すごいなあ、私も来年、先生たちのようになりたいなあとおもいました。「悩みを出す、相談することで新たな視点が見つかる」とお聞きして、本当に1年目だからこそいろんなことを聞いて勉強していこうと思いました。質問ですが、実際のところ1時間の授業に対して、どれくらい教材研究の時間を取っているのですか?小学校は特に様々な教科があって、毎日、授業の連続ですが、どうされているのかなとおもいました。私も、先生方のように教材研究を楽しんで、これは楽しいから是非伝えたい!楽しみ!と思えるくらいになって、落ち着いて余裕をもって授業をしていけたらいいなとおもいました。4月から先生になるのがまた楽しみになりました。本当にありがとうございました。
  • 今日の講座を受けて、教員はやはり学び続ける姿勢が非常に重要だと思いました。1期生・2期生の先輩方(新任)、丹松先生や山田先生のようなベテランの先生方でも、日々、教材研究を惜しまず、学び続ける姿勢が見て取れました。なので、自分もそれを見習わないといけないと思いました。そういった姿勢を生徒に見せることによって、生徒は何かを感じ、同時に研鑽を重ねた結果、児童・生徒にとってより良い授業を提供できるのだと考えました。最後に、福島先生のおっしゃっていた「できない事を子どものせいにしない」 という言葉が非常に印象に残っています。できないことを真摯に受け止め、より良い教員になるためには、学び続けることが大切だと思いました。

 

 3人の先生方には、学期初めの多忙な時期にレジメの提出をお願いし、また、一日の勤務の後、打ち合わせの時間を取っていただきました。4月から教壇に立つ塾生・聴講生には、とても有意義なパネルディスカッションになったのではないかと思います。3人のふくまる教志塾卒業の先生方、ありがとうございました。

 セミナーに関心のある方は、教育政策課にお問い合わせください。

この記事に関するお問い合わせ先

池田市 教育委員会 教育部 教育政策課
〒563-8666
池田市城南1丁目1番1号 池田市役所5階
電話:072-754-6294
教育委員会教育部教育政策課へのご意見・お問い合わせ