平成28年度池田市小中一貫教育教職員研修会
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「池田市小中一貫教育への提案~系統性と共通性の観点から」 京都光華女子大学 西 孝一郎 准教授
小中一貫教育
小中連携のうち、小・中学校がめざす子ども像を共有し、9年間を通じた教育課程を編成し、それに基づき行う系統的な教育
なぜ、小中一貫教育なのか
- 身体的発達の早期化の観点から
- 中1ギャップの観点から
基準の違いはあるが、いじめの認知件数や不登校児童生徒数の急増。
自尊感情については徐々に下がっているので中1ギャップとは言えない。 - 社会性育成の観点から
- 人とのつながりが減っている
- 小学校と中学校の連携・接続を改善することで一定の集団規模を確保・教育効果を高めることをねらいとした「縦」の統合(中教審の報告)
- コミュニティスクール:何とか社会とつながっていってほしい。
- この地域の子どもにとって何がよいかを地域の方と一緒に考える。
- 学校内に保育所のようなものをつくった地域もある。
- 地域を作り変えたり、地域おこしをしたりしている。→区域外就学も可
- 人とのつながりが減っている
小中一貫教育の「指導の一貫性」~系統性と共通性~
1.指導の系統性
- 単元系統図の作成と活用
重点教科・単元を決め、時数を多めに配当して指導する。 - 既習事項の復習を系統的に
- 授業冒頭で既習事項のおさらい、複数単元終了時のおさらい時間
- テストや検定の定期的な実施
- 帯時間での学習事項の反復
- 小6の最後のテストを中学校教員が作る
- 幼児教育との連携
年長期の子どもの育ちに影響を与える保護者(指導者)の関わり- 学びの環境を整える関わり
- 子どもの思考を促す関わり
- 子どもの意欲を尊重する態度
→小1期の学習態度にもつながっている。
2.指導の共通性
- 授業スタイルの共通化
- 全国学力・学習状況調査から…「めあて」と「振り返り」
- 学習課題(めあて)とまとめ(振り返り)の対応
- 家庭学習の共通化
- 家庭学習時間
- 自主学習ノートや家庭学習ノートの活用…「くりかえす」「まとめる」「つなげる」「つかう」
- 「家庭学習の手引き」の作成…学園(中学校区)で
- 学習方略・学習スキルの共通化
学校で、これまであまり教えられていない。- 繰り返し書いて覚える、声に出して覚える、図や表に書いて覚える
- わからない言葉を辞書で調べる
- 今勉強していることを既に知っていることと関連付ける
- 何がわからないかを確かめながら勉強する
- 間違えた問題をやり直す
- 学習規律・生活規律の共通化
授業開始・終了のあいさつ、机上の準備、起立・着席の仕方、忘れ物の申告、話の聞き方、挙手の方法、指名されたときの返事、ノートのとり方、持ち物、清掃の仕方、ロッカーや机の使い方、給食の支度・片づけの仕方など
3.指導の方法
- 教科担任制
- 乗り入れ授業
小学校6年の学年主任を中学校教員が担うこともある
小中一貫教育の成果と今後の課題
1.小中一貫教育の成果(成果が認められる77%)
- 学習指導上の成果
学習意欲の向上、学習習慣の定着、授業が理解できる児童生徒の増加、特別な支援を要する児童生徒へのきめ細やかな指導の充実 - 生徒指導上の成果
いわゆる「中1ギャップ」の緩和、中学校への進学に不安を覚える児童の減少、下級生の手本となろうとする上級生の意識の高まり - 教職員に与えた成果
教員の指導方法の改善意欲の高まり、小・中学校の教職員間の互いの良さを取り入れる意識の高まり、小・中学校共通で実践する取り組みの増加、小・中学校の教職員間で協力して指導にあたる意識の高まり
2.小中一貫教育の今後の課題
9年間の系統性に配慮した指導計画の作成・教材の開発、打ち合わせや合同会議等時間の確保、教職員の負担感・多忙感の解消、小・中学校間のコーディネート機能の充実、児童生徒の多様な活躍の機会の意図的な設定、異学年交流の意図的な設定、転出入児童生徒への個別ガイダンス
小中一貫教育と地域連携教育
自転車型の同時推進
小中一貫教育は自転車の前輪…方向性やバランス
地域連携教育は自転車の後輪…駆動力
→コミュニティスクールが全国に広がっている
小中一貫教育推進のイメージ
リレーゾーンをつくる
小学校6年生と中学1年生は、小・中学校のリレーゾーン
できるだけスピードを緩めないバトンパスを
更新日:2021年02月01日